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1枚目の写真の補正とRAW現像(その2)

  

1枚目の写真の補正(続き)

前の記事の『1枚目の写真の補正とRAW現像』からの続きです。 この記事では、引き続き写真の補正を行います。

前の記事ではホットピクセルの補正までを実施しました。 ここからはホワイトバランスの補正を行います。

ホワイトバランスの補正

ホワイトバランスは全体の色味に影響するため、このように早い段階での補正がオススメです

補正が必要かどうかの判断材料になるのが、左側のパネルの上部にあるヒストグラムです。 今回の写真は明らかに青かぶりしています。 そのため、ヒストグラムを見なくても補正が必要なことはわかりますが一応見てみましょう。

1. ホワイトバランス補正前のヒストグラム
1. ホワイトバランス補正前のヒストグラム

上図のように左側のパネルの上部にヒストグラムがあります。 ヒストグラムは色の分布図であり、初期状態では赤・青・緑成分のそれぞれの分布が表示されます。

ヒストグラムの横軸は明るさを表現しており、左側が最も暗い色で右側が最も明るい色です。 縦軸はその明るさのピクセルの量を表しています。 つまり、ピクセルの積み上げです。

今回のヒストグラムを見ると、赤成分は左側の山が高く右へ行くにつれて低くなっていることがわかります。 つまり、明るい赤色は少ないということです。 逆に青成分は右側の山が高く左へ行くにつれて低くなっています。 つまり、暗い青色が少ないということがわかります。 残る緑成分は、偏りなく分布しているように見えます。

ではここで、ヒストグラムの左上と右上に注目してください

2. 小四角は解析範囲の逸脱を表している
2. 小四角は解析範囲の逸脱を表している

上図のようにヒストグラムの左上には赤色の小四角が、右上には青色の小四角が描かれています。 これらの小四角は、解析範囲を逸脱したピクセルがあるということを表しています。

つまり、暗すぎる赤成分と明るすぎる青成分があるということです。 このように小四角が左右に分かれるのは色かぶりしている写真の典型です。 また、赤・緑・青成分の波形がほとんど重なっていませんが、それも色かぶりした写真の特徴です。

  
小四角が左右に分かれる写真や赤・緑・青成分の波形がほとんど重なっていない写真は色かぶりしている、ということではありません。 色かぶりしている写真のヒストグラムを見ると、そのような特徴を持っているものが多い、ということです。

ホワイトバランスの補正が必要なことがわかりましたので、さっそく補正しましょう。 補正関係のツールは、右側のパネルのツールボックスにあります。

ツールボックスはタブで分類されていますので、まずはタブを切り替えます。 ホワイトバランスのツールはカラータブにあります

3. カラータブをクリックする
3. カラータブをクリックする

上図のようにツールボックスのカラータブをクリックします(またはキーボードのALT + Cを押します)。

  
"Color" から連想して覚えましょう。
4. カラータブに切り替わる
4. カラータブに切り替わる

上図のようにカラータブに切り替わります。 目当てのホワイトバランスのツールが一番上に表示されています。

ではここで、"ホワイトバランス" という見出しの前に注目してください

5. 見出しの前に電源アイコンが描かれている
5. 見出しの前に電源アイコンが描かれている

上図のように見出しの前に電源アイコンが描かれています。 電源アイコンは、この機能が有効であることを示しています。 つまり、ホワイトバランスはすでに有効になっているということです。

電源アイコンはボタンでもあります。 クリックすることで、機能の有効/無効が切り替わります。 試しにクリックしてみましょう。

6. 電源アイコンをクリックする
6. 電源アイコンをクリックする

上図のように電源アイコンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

7. 電源アイコンから白丸アイコンに変化する
7. 電源アイコンから白丸アイコンに変化する

上図のように電源アイコンから白丸アイコンに変化します。 白丸アイコンは、その機能が無効になったことを表しています

プレビューパネルの補正後画像はどうなっているでしょうか。

8. ホワイトバランスが無効になっている
8. ホワイトバランスが無効になっている

上図のようにホワイトバランスが無効になったことでヒドい画像になっています。 これを見ると、人間の目は素晴らしいことがわかりますね。

では、ホワイトバランスを有効に戻しましょう。

9. 白丸アイコンをクリックする
9. 白丸アイコンをクリックする

上図のように白丸アイコンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

10. 白丸アイコンから電源アイコンに戻る
10. 白丸アイコンから電源アイコンに戻る

上図のように白丸アイコンから電源アイコンに戻ります。 これでホワイトバランスが有効になりました。

では、本来の作業に戻りましょう。 ホワイトバランスを補正して青かぶりを修正する作業です

ホワイトバランスの補正で最初にやるべきことは、RawTherapeeの自動補正の機能を試すことです。

11. ホワイトバランスのモードを自動補正に変更する
11. ホワイトバランスのモードを自動補正に変更する

上図のようにホワイトバランスのモードを自動補正に変更します。

12. やや黄味がかっている
12. やや黄味がかっている

上図のように補正されます。 編集開始時よりは自然になりましたが、やや黄味がかっています。 まだホワイトバランスの補正は終われません

  
自動補正の結果に満足できるなら、ホワイトバランスの補正はこれで終えることができます。

自動補正がダメなら、次は撮影時の環境に合わせてみます。 この写真は夜間に室内で蛍光灯の下で撮影しましたので、それに合わせましょう。

13. ホワイトバランスのモードを蛍光灯 -> F3 - ホワイトに変更する
13. ホワイトバランスのモードを蛍光灯 -> F3 - ホワイトに変更する

上図のようにホワイトバランスのモードを蛍光灯 -> F3 - ホワイトに変更します。

14. わずかに青味がかっている
14. わずかに青味がかっている

上図のようにさらに自然になりました。 ただし、わずかに青味がかっています。 もう少し頑張って補正してみましょう。

次に試すのは、スポット・ホワイトバランスの機能です。 これは、写真に写り込んだニュートラルカラー(中間色)の部分から計算してホワイトバランスを自動補正させる機能です。

  
 
ニュートラルカラーとは色味のない色、つまり、彩度がゼロの色のことです。 わかりやすく言えば、モノクロの色がニュートラルカラーです(右図)。

写真の中のどのピクセルがニュートラルカラーを写しているのかは、RawTherapeeは判断できません。 利用者がニュートラルカラーのピクセルを指定する必要があります。 ただし、白色と黒色は避けましょう。 解析範囲を逸脱している色かもしれませんので。

15. [ピック]ボタンを押す
15. [ピック]ボタンを押す

上図のように[ピック]ボタンを押します。 マウスカーソルがスポイトカーソル(スポイトカーソル)に変わります。

では、ニュートラルカラーの場所をRawTherapeeに教えましょう。 写真上でニュートラルカラーになっている場所ではなく、本来の色がニュートラルカラーの場所です。 つまり、ニュートラルカラーの物体が写っている場所です

16. 灰色の部分をクリックする
16. 灰色の部分をクリックする

上図のように補正後画像の陶器の灰色の部分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

  
造花が入っている陶器は色味のない白色です。
17. わずかに黄味がかっている
17. わずかに黄味がかっている

上図のように補正されます。 青味はなくなりましたが、まだわずかに黄味がかっています。

ではここで、ホワイトバランスのモードに注目してください

18. ホワイトバランスのモードがカスタムに変化している
18. ホワイトバランスのモードがカスタムに変化している

上図のように(1)のホワイトバランスのモードがカスタムに変化しています。 これは、スポット・ホワイトバランスの機能を利用したことで、(2)の色温度が変化したためです。 スポイトで陶器をクリックした時に色温度が変更されました。

色温度が変化したことは左側のパネルにある履歴で確認できます。

19. 履歴
19. 履歴

上図のように履歴に色温度の変更が記録されています。

さらに、補正前画像にも注目してください

20. 補正前画像が編集開始時の状態から変化している
20. 補正前画像が編集開始時の状態から変化している

上図のように補正前画像が編集開始時の状態から変化しています。 編集開始時の青かぶりした画像ではなく、わずかに青かぶりした画像に変わっています。

補正前画像が変化したのも、色温度が変更されたためです。 補正前画像には、常に編集開始時の画像が表示されるわけではありません。 それまでとは別の項目を操作すると、その直前の画像で書き換えられます

スポイトで陶器をクリックするまでは、ホワイトバランスのモードを操作していました。 つまり、スポイトで陶器をクリックしたことで、ホワイトバランスのモードの操作から、ホワイトバランスの色温度の操作へと切り替わったのです。

そのため、スポイトで陶器をクリックした瞬間に、その直前の画像が補正前画像として記録されました。 つまり、ホワイトバランスのモードに蛍光灯 -> F3 - ホワイトが適用された状態の画像で書き換えられたのです。

- 補正前画像・補正後画像の内容 -
補正前画像 蛍光灯 -> F3 - ホワイト
補正後画像 陶器をクリックしたことによる自動補正の結果

ではここで、編集開始時の状態の戻しましょう。 別の項目を操作しても補正前画像が書き換えられないようにする方法を説明するためです。

21. 履歴の先頭の行をクリックする
21. 履歴の先頭の行をクリックする

上図のように履歴の先頭の行の "写真を読み込みました | (更新済)" をクリックします。

22. 編集開始時に戻る
22. 編集開始時に戻る

上図のように編集開始時の状態に戻ります。 補正前画像・補正後画像ともに青かぶりした写真に戻っていることがわかります。

では、ホワイトバランスの補正をやり直しましょう。 ただし今回は、補正前画像が編集開始時のまま変化しないように設定してから補正します

23. [補正前の表示設定]ボタンを押す
23. [補正前の表示設定]ボタンを押す

上図のように補正前画像の右上にある[補正前の表示設定]ボタンを押します。

24. 補正前画像が固定される
24. 補正前画像が固定される

上図のように[補正前の表示設定]ボタンが錠が閉じた画像に変化します。 この状態は補正前画像が固定されたことを表しており、どれだけ補正ツールを切り替えて補正しても画像が書き換えられることはありません

では、ホワイトバランスのモードをもう一度 "自動補正" にしてみましょう。

25. ホワイトバランスのモードを自動補正に変更する
25. ホワイトバランスのモードを自動補正に変更する

上図のようにホワイトバランスのモードを自動補正に変更します。

26. 補正前画像は変化していない
26. 補正前画像は変化していない

上図のように補正され、補正後画像が変化します。 一方、補正前画像は編集開始時の青かぶりした状態のままです。

では次に、スポット・ホワイトバランスを利用して補正しましょう。 前回の利用時は補正前画像が変化してしまいましたが、今回はどうでしょうか。

なお、プレビューパネルのツールはスポット・ホワイトバランスが選択されたままです。 ですので、再度[ピック]ボタンを押す必要はありません。 このままニュートラルカラーのピクセルをクリックすることができます

27. 灰色の部分をクリックする
27. 灰色の部分をクリックする

上図のように補正後画像の陶器の灰色の部分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

28. わずかに黄味がかっている
28. わずかに黄味がかっている

上図のように補正されます。 編集開始時に比べれば自然ですが、まだわずかに黄味がかっています。

ではここで、補正前画像に注目してください

29. 補正前画像は編集開始時のまま変化していない
29. 補正前画像は編集開始時のまま変化していない

上図のように補正前画像は編集開始時のまま変化していません。 [補正前の表示設定]ボタンを押したことで、補正前画像が固定されたためです

最後に手動によるホワイトバランスの微調整を行いましょう。 現状、少し黄味がかっているので色温度を下げます。

  
色温度を下げると青味がかり、色温度を上げると黄味がかります。
30. 色温度を 3750 に設定する
30. 色温度を 3750 に設定する

上図のように色温度を 3750 に設定します。 入力欄をクリックして直接入力してもいいですし、入力欄の下のスライダを動かして調整することもできます。 また、入力欄の右の[+]ボタンと[-]ボタンで増減させることもできます。

31. 自然な色に補正される
31. 自然な色に補正される

上図のように補正され、自然な色になりました。 ホワイトバランスの補正はこれで完了としましょう

次の補正に進む前に、プレビューパネルのツールを手のひらツールに戻しておきます。

32. [手のひらツール]ボタンを押す
32. [手のひらツール]ボタンを押す

上図のようにプレビューパネルの上部にある[手のひらツール]ボタンを押します(またはキーボードのHを押します)。

  
"Hand" から連想して覚えましょう。
  
手のひらツールでは、ドラッグで画像の表示範囲を移動させることができます。 つまり、左側のパネルのナビゲータに頼らずに表示範囲を動かせます。

最後に、もう一度ヒストグラムを見てみましょう。 補正前は赤・緑・青成分の波形がほとんど重なっていませんでしたが、今はどうなっているでしょうか。

33. ホワイトバランス補正後のヒストグラム
33. ホワイトバランス補正後のヒストグラム

上図のように赤・緑・青成分が同じような波形を描いています。 また、解析範囲を逸脱したピクセルがあることを示す小四角も消えています。

次の記事へ

長くなってきましたので、この辺で一区切りしましょう。 続きは次の記事を参照ください

  
  

まとめ

ホワイトバランスは全体の色に影響するため、早い段階での補正がオススメです。 補正の必要があるかどうかは、ヒストグラムで判断するのがいいでしょう。 ヒストグラムの両端に描かれる小四角は、その色成分が解析範囲を逸脱していることを示しています。

ホワイトバランスの補正ツールは、ツールボックスのカラータブに分類されています。 "ホワイトバランス" という見出しの前の電源アイコンは、機能の有効/無効を表しています。 また、有効/無効を切り替えるためのボタンでもあります。

ホワイトバランスの補正は、まずは自動補正の機能を試してみましょう。 自動補正で満足できなければ、撮影環境に合わせてモードを選択します(蛍光灯 -> F3 - ホワイトなど)。

それでもダメならスポット・ホワイトバランスの機能で写真に写り込んでいるニュートラルカラーの物体をクリックします。 スポット・ホワイトバランスの機能を利用が終わったら、手のひらツールに戻しておきましょう。 手のひらツールなら、ドラッグで画像の表示範囲を移動させることができます。

操作/コマンド 説明
ALT + C ツールボックスのタブををカラータブに切り替える
[スポット・ホワイトバランス]ボタン
(または)
W
プレビューパネルのツールをスポット・ホワイトバランスツールに切り替える
[手のひらツール]ボタン
(または)
H
プレビューパネルのツールを手のひらツールに切り替える

ホワイトバランスの補正の最後の手段は、色温度や色偏差などを手動で微調整する方法です。

補正前画像の右上にある[補正前の表示設定]ボタンを押すことで、補正前画像を固定することができます。 固定されると、どれだけ補正ツールを切り替えて補正しても画像が書き換えられることはありません。

操作/コマンド 説明
[補正前の表示設定]ボタン 補正前画像を固定/解除する
 
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