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4枚目の写真の補正と出力予約

  

4枚目の写真の補正

それでは、4枚目の写真の補正に移りましょう。 4枚目の写真も補正後すぐにはRAW現像しません。 キューに追加して最後にまとめてRAW現像します

以下に4枚目の写真を再掲載します。 なお、この写真はカメラが出力した撮って出しJPEG画像です。

4枚目(samplephoto4.orf) - 霞がかかっている -画像を拡大する
4枚目(samplephoto4.orf) - 霞がかかっている -

滝のせいで湿度が高いのか霞(かすみ)がかかって白っぽく写っています。

4枚目の写真を編集対象として選択する

現在、3枚目の写真が編集対象として選択されていますので、4枚目へ切り替えましょう。

1. 画像スライドの4枚目の写真を右クリックし表示されるメニューの "開く" を実行する
1. 画像スライドの4枚目の写真を右クリックし表示されるメニューの "開く" を実行する

上図のように画面上部の画像スライドの4枚目の写真を(1)のようにマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックし、表示されるメニューの(2)の "開く" を実行します。

2. 4枚目の写真に切り替わる
2. 4枚目の写真に切り替わる

上図のように4枚目の写真に切り替わります。 このように、画像スライドのサムネイル画像の右クリックで表示されるメニューの "開く" から編集対象を切り替えることもできます。

ホットピクセルの補正

まずはホットピクセルの補正です。 なお、この写真は高感度撮影でも長秒時撮影でもありません。 そのため、ピクセル等倍でのホットピクセル探しは行いません。

1. ホットピクセルは心配なさそう
1. ホットピクセルは心配なさそう

上図のようにホットピクセルの心配はなさそうです。 何もせずに次の補正へ進みます

ホワイトバランスの補正

次はホワイトバランスの補正です。

1. ホワイトバランスの補正の必要はない
1. ホワイトバランスの補正の必要はない

上図のように色の不自然さは感じられません。 よって、ホワイトバランスの補正は実施しません

明るさの補正

続いては明るさの補正です。

1. 後で霞を除去するので明るさは問題なさそう
1. 後で霞を除去するので明るさは問題なさそう

上図のように上部がやや明るいですが、後で霞を除去するのでここでは何もしません

高感度ノイズ低減

次は、高感度ノイズ低減です。 なお、この写真はISO 100で撮影しました。

1. 高感度ノイズの心配もない
1. 高感度ノイズの心配もない

上図のように高感度ノイズの心配はない写真です。

細かな色の補正

続いては、細かな色の補正を行います。 パープルフリンジ・霞・コントラスト不足・彩度不足などが発生していれば補正します。

1. 霞がかかっている
1. 霞がかかっている

上図のように霞がかかっているように見えます。 滝の影響で湿度が高いために発生した霞なのか、レンズフレアなのかはわかりませんが補正が必要です。

ただし、3枚目の写真の明るさの補正で利用した霞除去の機能は使いません。 今回は、明度・コントラスト・彩度を調整することで霞を目立たなくします。

  
霞を除去するためには、霞除去の機能を使うのが自然です。 本ウェブサイトでは色々な補正の方法を紹介したいので、あえて明度・コントラスト・彩度を調整して対応しています。 明度・コントラスト・彩度を調整する方法はいくつかありますが、ここでは3通りの方法を紹介します。

明度・コントラスト・彩度を調整するための補正ツールは露光タブにあります。

2. 露光タブをクリックする
2. 露光タブをクリックする

上図のようにツールボックスの露光タブをクリックします(またはキーボードのALT + Eを押します)。

  
"Exposure" から連想して覚えましょう。
3. 露光タブに切り替わる
3. 露光タブに切り替わる

上図のように露光タブに切り替わります。


明度・コントラスト・彩度を調整する3通りの方法の1つ目は、露光補正の明度・コントラスト・彩度を調整する方法です。 簡単なのでRawTherapeeに慣れるまでは利用するのもいいですが、あまりオススメはできません。

4. 明度を下げてコントラスト・彩度を上げる
4. 明度を下げてコントラスト・彩度を上げる

上図のように露光補正の明度・コントラスト・彩度に -555 を設定します。

5. コントラストと彩度が高くなった
5. コントラストと彩度が高くなった

上図のようにコントラストと彩度が高くなります。 また、上部の不自然に明るい部分も抑えられました。 このように、明度を下げてコントラストと彩度を上げることで霞除去と似たような効果が得られます。

  
マニュアルによれば、明度とコントラストはRGB色空間で、彩度はHSV色空間で調整されるようです。
  
The same tone curve is applied separately to each R, G and B channel.
 
- 引用元 -
https://rawpedia.rawtherapee.com/Exposure#Lightness
  
he same contrast curve is applied separately to each R, G and B channel.
 
- 引用元 -
https://rawpedia.rawtherapee.com/Exposure#Contrast
  
In more technical terms, it adjusts the saturation of the image by applying a multiplier to the saturation level of pixels in the HSV color space.
 
- 引用元 -
https://rawpedia.rawtherapee.com/Exposure#Saturation

ではここで、編集開始時の状態の戻しましょう。 2つ目の方法を説明する前に元の状態に戻します。

6. 履歴の先頭の行をクリックする
6. 履歴の先頭の行をクリックする

上図のように履歴の先頭の行の "写真を読み込みました | (更新済)" をクリックします。

7. 編集開始時に戻る
7. 編集開始時に戻る

上図のように編集開始時の状態に戻ります。


次に、明度・コントラスト・彩度を調整する2つ目の方法を紹介します。 L*a*b* 調整で明度・コントラスト・色度を調整する方法です。 ただし、後ほど紹介する3つ目の方法の方がオススメです。

まずは、L*a*b* 調整を有効にします。

8. 見出しの前の白丸アイコンをクリックする
8. 見出しの前の白丸アイコンをクリックする

上図のように "L*a*b* 調整" という見出しの前の白丸アイコンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

9. 明度を下げてコントラスト・色度を上げる
9. 明度を下げてコントラスト・色度を上げる

上図のようにL*a*b* 調整が有効になりますので、明度・コントラスト・色度に -151515 を設定します。

  
L*a*b* 調整は、CIE 1976 (L*, a*, b*) 色空間で色を調整するための機能です。
10. コントラストと彩度が高くなった
10. コントラストと彩度が高くなった

上図のようにコントラストと彩度が高くなります。 このように、L*a*b* 調整で明度を下げてコントラストと色度を上げることでも霞除去と似たような効果を得ることができます。

では、3つ目の方法を説明する前に編集開始時の状態に戻します。

11. 履歴の先頭の行をクリックする
11. 履歴の先頭の行をクリックする

上図のように履歴の先頭の行の "写真を読み込みました | (更新済)" をクリックします。

12. 編集開始時に戻る
12. 編集開始時に戻る

上図のように編集開始時の状態に戻ります。


続いては、明度・コントラスト・彩度を調整する3つ目の方法です。 トーンカーブと呼ばれる機能を使って調整を行います。 上級者になっても使える機能です。

  
トーンカーブは上級者になっても使える素晴らし機能ですが、霞の除去には専用の霞除去を使うべきです。 この記事では、色々な補正の方法を紹介するためにあえてトーンカーブで霞を除去しています。

まずは、トーンカーブを見てみましょう。

13. トーンカーブ
13. トーンカーブ

上図のように左下から右上に曲線が描かれていますが、これがトーンカーブです。 簡単に言うと明るさを調整するための機能で、カーブの形状で補正結果が変化します

具体的には補正前と補正後の明るさをカーブの形状によって "ずらす" ことができます。 例えば、

  1. 補正前の15%の明るさの部分は補正後は 5%にする
  2. 補正前の20%の明るさの部分は補正後は15%にする
  3. 補正前の30%の明るさの部分は補正後も30%にする
  4. 補正前の40%の明るさの部分は補正後は45%にする
  5. 補正前の55%の明るさの部分は補正後は65%にする

という具合に調整することができます。

まずは、トーンカーブの見かたを説明します。

14. 入力バーと出力バー
14. 入力バーと出力バー

上図のようにヒストグラムの下側と左側にバーがありますが、このバーが明度を表しています。 下側のバーが入力で、左側のバーが出力を表しています。

入力バーと出力バーの対応を決めるのが灰色の線で描かれてるトーンカーブです。 では、具体的に見てみましょう。 入力(補正前)で 20% の明るさのピクセルが出力(補正後)にはどんな明るさになるかを見てみます。

15. 入力で 20% のピクセルは出力で 13% になる
15. 入力で 20% のピクセルは出力で 13% になる

上図のように入力バーの左から20%の位置から上に進みます。 トーンカーブにぶつかったら左に曲がりそのまま進みます。すると、出力バーの下からおよそ 13% の位置へたどり着きます。 つまり、このトーンカーブでは補正前に 20% の明るさだったピクセルは補正後に 13% の明るさになります

では次に、補正前に 30% の明るさのピクセルが補正後にはどうなるかを見てみましょう。

16. 入力で 30% のピクセルは出力でも 30% のまま
16. 入力で 30% のピクセルは出力でも 30% のまま

上図のように入力バーの左から30%の位置から上に進み、トーンカーブにぶつかったら左折します。 左折してそのまま進むと出力バーの下から30%の位置へたどり着きます。 つまり、このトーンカーブでは補正前に 30% の明るさだったピクセルは補正後も 30% の明るさのままです

続いては、補正前に 80% の明るさのピクセルが補正後にはどうなるかを見てみます。

17. 入力で 80% のピクセルは出力で 90% になる
17. 入力で 80% のピクセルは出力で 90% になる

上図のように補正前に 80% の明るさだったピクセルは補正後に 90% の明るさになります

ではここで、改めてトーンカーブを見てみましょう。

18. 明るい部分はより明るく・暗い部分はより暗くなる
18. 明るい部分はより明るく・暗い部分はより暗くなる

上図のように補正前に 30% だったピクセルは補正後も変化しません。 補正前に 30% よりも暗い部分は補正後にさらに暗くなり、30% よりも明るい部分は補正後にさらに明るくなります。

つまり、明るい部分はより明るく・暗い部分はより暗くなる補正が行われるトーンカーブです。

  
このようなS字のトーンカーブはコントラストと彩度を上げる効果があります。

本来の作業からは脱線しますが、ここで、トーンカーブを左下から右上の直線に変えてみましょう。 つまり、補正前の明るさと補正後の明るさが同じになるトーンカーブです。 別の表現をすれば、何も補正しないトーンカーブということになります

19. トーンカーブ1をリニアに変更する
19. トーンカーブ1をリニアに変更する

上図のようにトーンカーブ1をリニアに変更します。 リニアとは、左下から右上への直線のことです。

20. トーンカーブ1のカーブが非表示になる
20. トーンカーブ1のカーブが非表示になる

上図のようにトーンカーブ1のカーブが非表示になります。 リニアでは何の補正も行われないため、カーブを表示する必要がないからです。

では次に、トーンカーブの自動調整の機能を使ってみましょう。 トーンカーブの自動調整は、RAWファイルに埋め込まれている撮って出しJPEG画像に似た画像にするためのトーンカーブを作り出す機能です。

  
すでに説明したように、RawTherapeeでは新たなRAWファイルの編集を開始すると、処理プロファイル "Auto-Matched Curve - ISO Low" が適用されます。 それにより、RAWファイルに埋め込まれている撮って出しJPEG画像に似た画像として編集を開始することができますが、その際に実行されているのがトーンカーブの自動調整です。

では、トーンカーブの自動調整の機能を使いましょう。

21. [トーンカーブの自動調整]ボタンを押す
21. [トーンカーブの自動調整]ボタンを押す

上図のように[トーンカーブの自動調整]ボタンを押します。

22. トーンカーブが自動調整される
22. トーンカーブが自動調整される

上図のようにトーンカーブが自動調整されます。 RAWファイルに埋め込まれている撮って出しJPEG画像を真似るように計算された結果です。 当然ですが、編集開始時と同じカーブを描いています

では、本来の作業に戻りましょう。 明度・コントラスト・彩度を調整する作業です。 すでに説明したように、S字のトーンカーブにはコントラストと彩度を上げる効果があります。 S字カーブの曲がりを強くすることで、効果も高くなります。

23. 調整ポイントをドラッグで移動させる
23. 調整ポイントをドラッグで移動させる

上図のように調整ポイントをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)のドラッグで移動させます。 トーンカーブのS字の曲がりが大きくなるように移動させましょう。

24. トーンカーブのS字の曲がりを大きくする
24. トーンカーブのS字の曲がりを大きくする

上図のようにトーンカーブのS字の曲がりを大きくします。

結果はどうなっているでしょうか。 見てみましょう。

25. コントラストと彩度が高くなる
25. コントラストと彩度が高くなる

上図のようにコントラストと彩度が高くなります。 このように、トーンカーブのS字の曲がりを強くすることでも霞除去と似たような効果を得ることができます

  
今回のトーンカーブによる補正は不自然なほどにコントラストも彩度も高くなっています。 効果をわかりやすく伝えるため、あえてそのように補正しましたがこれはやり過ぎです。
  
トーンカーブには、トーンカーブ1とトーンカーブ2の2つがあります。 トーンカーブ1が適用された後にトーンカーブ2が適用されます。 マニュアルによれば、トーンカーブ1で明るさを下げ、トーンカーブ2で明るさを上げる使い方が推奨されています。 1つのS字のトーンカーブで調整するよりも不自然さがないとのこと。
  
The typical use of both curves is to lower values using the first curve, and to raise values using the second one. It is similar to creating an S curve in one of them, but you should be able to make finer adjustments by using both without entering too fast in the "danger zone" where your colors becomes unrealistic.
 
- 引用元 -
https://rawpedia.rawtherapee.com/Exposure#Tone_Curves

レンズ/ジオメトリ補正

最後の補正はレンズ/ジオメトリ補正です。

1. レンズ/ジオメトリ補正は実施しない
1. レンズ/ジオメトリ補正は実施しない

上図のようにレンズ/ジオメトリ補正は不要な写真です。

  

RAW現像予約(キューへの追加)

4枚目の写真の補正も終わりました。 5枚目の写真の補正に進む前に、4枚目の写真(この写真)のRAW現像予約を行いましょう。

1. [現在の画像をキュー処理に追加]ボタンを押す
1. [現在の画像をキュー処理に追加]ボタンを押す

上図のようにプレビューパネルの下部にある[現在の画像をキュー処理に追加]ボタンを押します(またはキーボードのCTRL + Bを押します)。

2. キュータブに [3] と表示されている
2. キュータブに [3] と表示されている

上図のようにキュータブに [3] と表示されています。 出力予約がキューに追加されたことがわかります。

  

まとめ

画像スライドのサムネイル画像の右クリックで表示されるメニューの "開く" を実行することで、編集対象を切り替えることができます。

明度を下げ、コントラストと彩度を上げることで霞除去と似たような効果を得ることができます。 露光補正の明度・コントラスト・彩度で設定すると、RGB・HSV色空間で調整されます。 L*a*b* 調整の明度・コントラスト・色度で設定すると、L*a*b*色空間で調整されます。

また、トーンカーブでも霞除去と似たような効果を得ることもできます。 トーンカーブをS字に曲げることでコントラストと彩度が強くなり、逆S字にすることでコントラストと彩度が弱くなります。 カーブの曲がりが大きいほど効果が強くなります。

トーンカーブには、トーンカーブ1とトーンカーブ2の2つがあります。 トーンカーブ1で明るさを上げ、トーンカーブ2で明るさを下げる使い方が推奨されています。

 
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