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1枚目の写真の補正とRAW現像(その3)

  

1枚目の写真の補正(続き)

前の記事の『1枚目の写真の補正とRAW現像(その2)』からの続きです。 この記事では、引き続き写真の補正を行います。

前の記事ではホワイトバランスの補正までを実施しました。 続いては、明るさの補正を行います。

明るさの補正

では、明るさの補正が必要かどうかをヒストグラムを見てみましょう。

1. ヒストグラム
1. ヒストグラム

上図のように解析範囲からの逸脱を示す小四角はありません。 つまり、極端に暗い色・明るい色はないということです。 また、赤・緑・青成分ともに左や右に偏ってもいません

よって、明るさについては補正の必要はないと判断できます。 明るさの補正はこれで終わります。

高感度ノイズ低減

続いては、高感度ノイズの低減を行います。 高感度ノイズとは、名前の通りISO感度を上げると発生しやすいノイズです。

  
 
高感度ノイズは、赤・緑・青の点のカラーノイズとして発生し、暗い部分(黒い部分)で特に目立ちます。 存在しない色であるため偽色と呼ばれます(右図が高感度ノイズ)。

この写真は室内で夜間に撮影しているため、高感度ノイズが発生している心配があります。 そこで、まずは撮影時のISO感度を確認します。 画面上部の画像スライダのサムネイルにマウスカーソルを乗せることで、この画像の情報を表示させることができます。

では、画像スライダのサムネイルにマウスカーソルを乗せ、画像の情報が表示されるのを待ってください

1. 画像の情報が表示される
1. 画像の情報が表示される

上図のようにサムネイルの上に画像の情報が表示されます。 表示内容は、ファイル名・撮影日時・F値・シャッター速度・ISO感度・焦点距離です。 表示内容を見れば分かる通り、ISO 400で撮影されています

この写真は、今となっては骨董品のOLYMPUS E-520で撮影しました。 カメラの高感度ノイズ低減設定は "標準" です。

高感度ノイズが発生しやすいといわれるフォーサーズ機ですが、さすがにISO 400ではノイズは目立ちません。 よって、高感度ノイズ低減は行いません

  
この写真の補正を開始してすぐに、ピクセル等倍(表示倍率100%)でホットピクセルの有無を確認しました。 その際に高感度ノイズは目立っていなかったため高感度ノイズ低減は不要と判断しました。 ISO感度の数値だけで決めたわけではありません。

細かな色の補正

続いて、細かな色の補正を行います。 全体に影響する色味はホワイトバランスで調整しましたので、それ以外の色に関係する補正をここで実施します

具体的には、パープルフリンジ・霞(かすみ)・コントラスト不足・彩度不足などが発生しているかを確認し、あれば補正します。

では、現在の写真の補正状況を見てみましょう。

1. 細かな色の問題はなさそう
1. 細かな色の問題はなさそう

上図のように室内で撮影した写真ですので、パープルフリンジが発生しているとは考えられません。 同じく室内の撮影で霞が発生するはずはありませんし、コントラスト・彩度にも問題はないようです。

よって、細かな色の補正は不要です

レンズ/ジオメトリ補正

最後に、レンズや形状に関わる補正を行います。 レンズの影響で発生する歪み・周辺光量低下・色収差の補正、また、傾き補正や切り抜きなどの形状の変形を行います。

1. レンズ関係の補正や変形は必要なさそう
1. レンズ関係の補正や変形は必要なさそう

上図のようにレンズによる歪みは感じられませんし、周辺光量低下も色収差も見られません。 また、傾きの補正や切り抜きも不要です。 よって、レンズ関係の補正や変形は実施しません

  
実は、すでにRawTherapeeによってレンズの歪み・周辺光量低下の補正がかかっています。 RAWファイルに含まれているレンズの情報を利用して自動的に補正がかかっているのです。 そのため、歪みも周辺光量低下も感じられませんでした。 レンズに関する補正の詳細については、6枚目の写真のレンズ/ジオメトリ補正で紹介します。

RAW現像

ようやく1枚目の写真の補正が終わりました。 ホワイトバランスの補正しか実施していませんが、それでもかなりの時間がかかりました。 2枚目の写真の補正に進む前に、1枚目の写真(この写真)をRAW現像しましょう。

RawTherapeeでは、すぐにRAW現像することも、最後にまとめてRAW現像することもできます。 2枚目から7枚目は最後にまとめてRAW現像しますが、1枚目だけは今すぐにRAW現像します

それでは、RAW現像しましょう。

1. [現在の画像を保存]ボタンを押す
1. [現在の画像を保存]ボタンを押す

上図のようにプレビューパネルの下部にある[現在の画像を保存]ボタンを押します(またはキーボードのCTRL + Sを押します)。

  
"Save" から連想して覚えましょう。
2. 保存ダイアログが開く
2. 保存ダイアログが開く

上図のように保存ダイアログが開きます。 場所の一覧から(1)のCameraフォルダを選択し、(2)のNameにRAWファイルの拡張子(".orf")が付いていれば取り除きます。 さらに(3)の "設定値も保存する" のチェックを外し、(4)の[OK]ボタンを押します。

  
(3)の"設定値も保存する" がチェックされたままだと、JPEGファイルだけでなく "samplephoto1.jpg.pp3" というファイル名のサイドカーファイルも作成されてしまいます。
3. 進捗が表示されるので終わるまで待つ
3. 進捗が表示されるので終わるまで待つ

上図のように出力が開始され、プレビューパネルの下部に進捗が表示されます。 出力が終わると、進捗バーの見出しが "準備完了" に戻ります。

進捗バーの見出しが "準備完了" に戻ったら、デスクトップの下のCameraフォルダを見てみましょう。

4. JPEGファイルが出力される
4. JPEGファイルが出力される

上図のようにJPEGファイルが出力されています。 各種画像ツールを利用して中身を確認してみましょう。 プレビューパネルに表示されていた通りに出力されていることがわかるはずです。

ではここで、画面上部の画像スライドの1枚目の写真に注目してください。

5. 画像スライドのサムネイルにフロッピーディスクのアイコンが描かれている
5. 画像スライドのサムネイルにフロッピーディスクのアイコンが描かれている

上図のように画像スライドの1枚目の写真のサムネイルにフロッピーディスクのアイコンが描かれています。 このフロッピーディスクのアイコンは、画像が出力済みであることを表しています

これで、1枚目の写真のRAW現像が終わりました。 1枚目の写真に関してはもう何もすることはありません。

  

JPEGファイルを非表示にする

2枚目の写真の補正に入る前に、JPEGファイルを非表示にする作業を行います。 RAW現像によって出力されたJPEGファイルが画像一覧に表示されないようにする作業です。

RAWファイルとJPEGファイルの両方が表示されると見づらいという理由からです。

1. ファイルブラウザタブをクリックする
1. ファイルブラウザタブをクリックする

上図のように左側のパネルのファイルブラウザタブをクリックします。

2. ファイルブラウザタブに切り替わる
2. ファイルブラウザタブに切り替わる

上図のようにファイルブラウザタブに切り替わります。 前回の表示時と同じで、7ファイルが表示されています。 RAW現像によって出力されたJPEGファイルはまだ表示されていません

では、いったん他のフォルダに移動してみましょう。

3. Picturesフォルダをクリックする
3. Picturesフォルダをクリックする

上図のように左側のパネルの『場所』の一覧のPicturesフォルダをクリックします。

4. Picturesフォルダの画像が一覧で表示される
4. Picturesフォルダの画像が一覧で表示される

上図のようにPicturesフォルダの画像が一覧で表示されます。

では、デスクトップの下のCameraフォルダに戻りましょう。

5. Cameraフォルダをクリックする
5. Cameraフォルダをクリックする

上図のように左側のパネルの『場所』の一覧のCameraフォルダをクリックします。

6. Cameraフォルダの画像が8ファイルになっている
6. Cameraフォルダの画像が8ファイルになっている

上図のようにCameraフォルダの画像が一覧で表示されます。 表示されているファイル数が、7ファイルではなく8ファイルになっています。

1ファイル目と2ファイル目に同じ造花の写真、つまりどちらも1枚目の写真が表示されています。 これは、"samplephoto1.orf" と "samplephoto1.jpg" の両方が表示されているためです

では、RAWファイルのみが表示されるようにしましょう。 すでに説明した絞り込みの機能を使います。

7. RAWファイルだけに絞り込む
7. RAWファイルだけに絞り込む

上図のように右側のパネルを(1)の絞り込みタブに切り替え、(2)の"メタデータ絞り込みの適用" をチェックします。 さらに、(3)の "ファイル タイプ:" をチェックし、一覧から orf のみを選択します。

8. RAWファイルのみに絞り込まれる
8. RAWファイルのみに絞り込まれる

上図のようにRAWファイルのみに絞り込まれます。 造花の写真は1ファイルだけしか表示されていません。

では、写真の補正(編集)に戻りましょう。

9. 編集タブをクリックする
9. 編集タブをクリックする

上図のように左側のパネルの編集タブをクリックします。

10. 1枚目の写真の編集に戻る
10. 1枚目の写真の編集に戻る

上図のように編集タブに切り替わり、1枚目の写真の編集に戻ります。 画面上部の画像スライドの造花の写真は1枚しかありません。 絞り込みによって、JPEGファイルが除外されたためです

  

まとめ

明るさの補正が必要かどうかはプレビュー画像を見るだけでなく、ヒストグラムで確認しましょう。 解析範囲を逸脱していることを示す小四角があるかどうかが一つの目安です。

高感度ノイズの有無はピクセル等倍で表示して確認しましょう。 明るい場所でISO感度を低く設定して撮影しているなら、そもそも確認も補正も必要ないでしょう。

RawTherapeeでは、RAWファイルに含まれているレンズの情報を利用して自動的に歪曲補正・周辺光量補正がかかります。

補正が終わったらRAW現像を行ってJPEGファイルを出力しましょう。 RawTherapeeでは、すぐにRAW現像することも、最後にまとめてRAW現像することもできます。

操作/コマンド 説明
[現在の画像を保存]ボタン
(または)
CTRL + S
現在の画像を今すぐにJPEG画像として出力する
 
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